大学生の頃、チェーンのカフェで働いたことがある。それまで親が経営する会社の繁忙期に働いたことはあるけれど、アルバイト経験がまるでなかった。人とうまくコミュニケーションが取れないし、親密になることが不得手すぎて、働く気になんかなれなかった。
だけど、3年生にもなると「このまま社会に出たらとんでもないことになるんじゃないか」とそれなりに不安が募り、「接客業も満足にできなくて、どうして世の中を渡っていけるだろうか。僕にはリハビリが必要だ」と思い込んでしまった。別に働きたいわけじゃなかった。ただ、あの頃はまだ苦手なことを克服すれば変われると素朴に思っていたのだ。
単調な仕事ならできるけれど
最初に与えられた仕事は、店内の掃除と食器類の洗浄だった。とても単調だけど誰とも話をしなくて済むので楽だったし、やりがいを…