六波羅蜜寺にある空也上人立像。6体の小さな仏が口から中空に向けて吐き出されていて、それぞれは「南無阿弥陀仏」の6文字を表している。この像を初めて見たのは小学4年の頃だった。たまたま開いた図録のページに釘付けになった。自室にいながらたちまち白昼夢に引きずり込まれた僕は、平安時代の洛中に飛んだ。
空也上人が辻で鉦を叩き、念仏をひとたび唱えると市井の老いも若きも欣喜雀躍。手の舞い足の踏む所を知らずといったあり様だ。
盆ダンスであがる
僕は引っ込み思案だからみんなみたいに踊れないけれど、相当ヤバいのはわかった。なにせ口にするべきことと口にするべき時と心とがピタリと一致し、それが口を吐いて出るのだからヤバいに決まっている。さっきから耳にしている「それ」はもう言葉ではない感じだし、まして意味でもなかったし、音と空…