街を歩いていたらフランス人に道案内を請われた。フランス語は自己紹介くらいしかできないので、拙い英語でなんとか応対していた。こういうときは、明らかに日本語を話すのとは違う自分が立ち現れる。 たとえば普段はしないはずの肩をすくめてみせたり、気さくに「昔、パリに行ったことがあるよ。その時の思い出といえば、やたらとクロワッサンが美味しかったことだね」と普段なら言わないようなありきたりなことを話したり。 相手が「谷崎潤一郎が好きだ」と言うので「『台所太平記』はおもしろいよ。読んだ?」と返事しようとしたけれど、『台所太平記』をなんと訳したらいいかわからないから、「いいよね」なんて適当な調子の返事で済ました。演技しているわけでもない。素でもない。ただ自分というものの異なる表情を久方ぶりに見た気がした。
内と外について考えています。
いつもありがとうございます(-o-)/
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