この連載を始めるにあたって、僕はこういうことを書いた。
「膝や肘だとか肩に独特の言い分がたくさんあって、いつもうるさいんですよね。脳内でミーティングが行われている感じです」
「わりと両手の親指が行方不明で、だからうまくコップとか掴めない。いちいち親指はどこへ行った?と尋ねなくちゃならない。対話が必要なんです」
現状はどうなっているかと言ったら「膝や肘だとか肩」の言い分をうるさいと断じることはなくなり、ちゃんと話を聞けるようになってきた。でも、その対話は膝や肘、肩の現場で行われるので、脳内ミーティングの頻度は減ったし、行われたとしても、あまりその決定に重きを置かなくなった。
そして長年に渡り行方不明と思われていた両手の親指は、ずっと所在は明確にあったことが確認された。変わらずコップをうまく掴めなかったりは…